鳥取大学医学部附属病院

メッセージ

 卒後臨床研修必修化から早や7年が経過しました。周知の如く、本制度導入後から研修医の都会の一般病院志向、地方の大学離れが急速に進行し、特に東北や北陸、中四国で研修医の数は激減しています。本院でも本制度導入前に比べると研修医の数は半減し、このままでは近い将来に当地方の医療に破綻を来すことは目に見えています。医学生の都会、一般病院志向には、これといった大きな理由は無いようで、この問題の解消となる妙手も無いのが現状です。研修プログラムの内容をとやかく言う向きもありますが、本院の研修プログラムは厚労省の特色あるプログラムに選定された実績もあり、都会の病院のそれに比べて優れていると考えられます。さらに新たな取り組みとして、海外との交流(指導医の招聘、海外の病院研修)や関西の病院とのたすきがけプログラムなどを導入し、また年俸制の導入やコンピューター貸与などの処遇面の改善を行い、研修医にとってさらに充実した研修体制になっています。

 このように、鳥取大学の研修カリキュラムやシステムは大学病院・地域医療機関・医師会・鳥取県が一体となって、山陰の医療を支える人材を養成しようとする熱い思いが込められています。どうか1人でも多くの医学生がこの自然豊かな山陰で、医師としての第一歩を踏み出されることを期待しています。

 本院は、鳥取県西部の中核病院として一次から三次まで数多くの救急患者を受け入れると当時に、地域の病院・医院と密接に連携しながら地域医療を担う役割も持っています。また、大学病院として、各種疾患の集学的治療・先端治療を行うとともに、臨床研究・基礎研究を推進しています。
 研修プログラムの特徴としては、平成26年度から、旧来より設けていた自由選択、外科、精神科、小児科、産婦人科、救急・集中治療医、関西たすきがけプログラムに加え山陰たすぎがけプログラムを加えた合計8つのプログラムを展開しています。自由選択プログラムでは、自由選択期間を利用した2年目以降の関連基幹型病院とのたすきがけも可能になっています。外科、精神、小児、産婦人科、救急プログラムはそれぞれ将来外科医、精神科医、小児科医、産婦人科医、救急専門医を目指す研修医にとって、専門医取得を含めた将来のキャリアプランについて、個人の希望と、プログラム責任者や指導医の専門家としての見地から研修プログラムを組み立てることができる最適なプログラムとなっています。関西たすきがけプログラムでは1年目に関西の北野病院や大阪市立総合医療センター、関西労災病院などで研修し、2年目を鳥取大学で研修を行います。山陰たすきがけプログラムは鳥取県立中央病院、松江赤十字病院、松江市立病院、津山中央病院など山陰地方の協力型研修病院で1年目に研修し、2年目を鳥取大学で研修するプログラムです。
 本院では、各専門領域が、常に国内外の最新の医療を意識した情報の収集や発信、医療の提供を目指しています。また、分野や職種を超えた横断的な医療を実践し、さらには再生医療・ゲノム医療・医療機器開発等の医療の発展と次世代の人材育成にも力を入れています。地域医療・救急医療など、一般臨床医として必要な基本的診療知識・技術を学び実践していくためにも、このような医療現場での研修は大切であると考えます。
 また、大学病院では、今後皆さんが専門領域を持ちながら医師としてのキャリアを継続していく際のロールモデルやメンター(診療、研究、国内外の施設への留学、出産・育児との両立など)となりうる、多様な年代の医師が男女を問わず各専門分野に数多く在籍しており、様々な立場で医療チームの一翼を担いながら活躍していることも大きな魅力です。
 初期研修2年間に出会う患者さんや疾患に対して、医師・医療チームとしてどのように対応できたかを1例1例深く掘り下げて考えることは、その後の医師としての目標にも大きく影響します。
 是非、多くの関連病院、協力病院と連携しながら前進を続ける鳥取大学で研修をして下さい。

「有意義な研修をするために必要なこと」
 私は、当時「新臨床研修制度」と言われた現研修制度の第1期生です。医学部卒業時より内分泌代謝内科を希望していましたが、この制度を期に早くから将来を悩んで良かったと思っています。おかげで経験豊かな先生方からの助言も受けられましたし、研修先も将来を考えて選べました。本学には各分野のスペシャリストが揃っています。学生、研修医の皆さんも早くから大いに悩み、その道のプロに相談して頂きたいと思っています。
 一方でいざ研修を始めたときの食わず嫌いは禁物です。臨床研修は、専門外を診察する最初で最後のチャンスです。私にとっては、どの科も貴重な経験でした。その面白さをご指導頂いた先生方には、大変感謝しています。また共に研修した同期もかけがえのない存在でした。研修を通じた出会いも大切にして頂きたいと思います。
 私の限られた経験ですが、学生、研修医の皆さんがバランス感覚の優れた医師に成長できるよう、今後も少しでもお役に立てれば幸いです。

 卒後の初期研修をどこで行うか考えている全国の医学生の方が多いかと思います。突然ですが皆さんが研修病院を選ぶ基準って何でしょう。病院の規模?症例の多さ?指導体制の質?カリキュラムの内容?病院の場所?インカムの多寡?・・・etc。皆さんお考えは様々かと思いますが、大きな括りとして“大学病院”or“市中病院”という発想があるのではないでしょうか?私が学生の頃を思い返してもマッチングの季節になると嘘か真か様々な言説が飛び交っていたものです。ざっと思い返してみますと・・・

大学病院での研修
メリット
 ひとつの症例をじっくり診療することができる。
 各診療科で最新の知見に触れる機会がある。
 各専門分野の医師数が多く様々な指導を受けられる。
デメリット
 頻度の高い疾患が少ない。
 人が多くなかなか手技をやらせてもらえない。

市中病院での研修
メリット
 経験できる症例が多く、いち早く一人前になれる。
 沢山手技をやらせてもらえる。
デメリット
 診療に対する考えが偏りがちになる。
 とにかく忙しい。
 プレゼンテーションが弱い。

 といったところでしょうか?いずれにしても双方メリット、デメリットがあることは確かです。何ならいっそのこと両方で研修してみてはどうでしょう?鳥取大学では“たすきがけプログラム”というカリキュラムがあり、大学と市中病院の両方で研修することが可能です。(実際本院の多くの研修医がこの制度を利用しています。)他施設でも同じようなカリキュラムはあるかと思いますが、各病院とのネットワークを多数持つ大学病院を主軸に置いた方が圧倒的に有利で融通が利くと思います。
 また鳥大は“地方”の“大学病院”です。決して有病率の低いマニアックな症例ばかり診ているわけではありません。むしろ基礎疾患を多く有した症例は“common diseaseの塊”と言えるでしょう。私たち初期研修医が学ぶべき基本的な事柄をひとつひとつ確認しながら勉強するにはうってつけの環境だと思います。そして鳥大では卒後10年前後の先生方が指導医を担当することが多いのですが、各専門領域で揉まれに揉まれた“脂の乗り切った”先生方の指導は単に病態把握や治療方針だけに留まりません。医学とは何か?診療とは何か?研究とは何か?と言った根源的な問いに対し皆一家言をお持ちです。その含蓄のある示唆に富んだ指導は大いに良い刺激を受けることでしょう。(こういうことって中々聞けないし本当に貴重です。)
 しかしながら最も大切なことは将来自分がどんな医師像を思い描いているか?ということではないかと私は考えています。臨床医としてバリバリ診療したいと思うのか、医学研究をしたいと思うのか、その両方を精力的にこなしたいと思うのか。大学病院は医療機関であり、研究機関であり教育機関であるという性質上、たゆまない臨床的思考に裏打ちされたディスカッションとコンセンサスを経て診療を行っていきます。一見するとその行為は回りくどく見えるかもしれませんが長い医師生活の中でいずれの道に進むにせよ必ずや役に立つ有意義な経験になると私は強く確信をしています。是非一度病院見学にいらして下さい。見学は随時受け付けております。皆さんと一緒に仕事ができることを楽しみにしています。

鳥取県臨床研修指定病院協議会
〒680-8570 鳥取県鳥取市東町1丁目220 (鳥取県福祉保健部医療政策課内) TEL: 0857-26-7195 / FAX:0857-21-3048